薫る風のなかで

 

佐賀県立点字図書館
館長  野口 幸男

 

 

利用者及びボランティア、ならびに点字図書館を支えていただいております皆さまに、日ごろよりのご支援ご協力に対しまして厚く御礼申し上げます。
 4月中旬以降、熊本県で大地震が頻発し、今も終息が見えない状況が続いています。地震から2週間後、九州視覚障害者情報提供施設協議会として、熊本県点字図書館へお見舞いに伺いました。地震直後は、書架の故障で点字図書の貸出業務が休止したり、避難所から通っておられる職員さんもおられたそうですが、業務は再開されていました。また、図書館が入る身体障害者福祉センターは、視覚障がい者を含む5組の方などが、避難所として利用されていました。被災された皆様に対して、心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈りいたします。
 先日、佐賀にわかの筑紫美主子さんの「旅芸人の唄 筑紫美主子自伝」という本の音訳図書のリクエストがありました。探してみると、25年前、音訳ボランティアさんが初めて音訳されたカセットテープ5巻組の図書がありました。しかし、テープ図書をデジタル化したものの未編集のまま所蔵している状態でした。早速にベテランの音訳ボランティアさんに編集を依頼するとして、さて原本はということになりました。「旅芸人の唄」は、今から35年前の昭和56年の出版。それが、何と私の蔵書にあったことから、編集に役立ててもらった。本を再読して、筑紫さんが若い頃、失恋から人生に絶望して池に身を投げたという話を思い出した。飛び込んだものの、一向に苦しくもならない死にもしない。雨の夜だったので池に水がないことに気づかず頭から飛び込んでしまい、全身泥まみれになっただけ、死ぬことも忘れて大声で泣きつつ、自分の姿に大笑いしてしまったとのことだった。筑紫さんの身振り手振りを交えた話に、腹の皮をよじらせ目は涙目になったことを昨日のことのように思い出した。
 古い話はこれまで。風薫る季節、点字図書館には吉原直美という新しい風が加わっています。貸出閲覧員の業務を中心に、点訳講習会、音訳講習会にも出席して業務見習中です。本号に、自己紹介とごあいさつを掲載しておりますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
末尾ながら、4月下旬から5月中旬にかけては、サピエの全面休止によって利用者の皆さまに多大のご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。皆様のご理解とご協力に深く感謝申し上げます。









新任のあいさつ





今年の4月から佐賀県立点字図書館で働くことになりました吉原直美と言います。私は、3月まで佐賀女子短期大学で司書になるための勉学に励んでいました。その一環で点字図書館に施設見学をしました。多様な取り組みを聞いていくうちに関心を持ち、4月から働いています。1か月が経ち業務にも少しずつ慣れてきました。今でも覚えることがあり大変ですがとてもやりがいがあります。職員の方達も丁寧に教えて下さいます。至らない点が多少あるかと思いますが、皆様よろしくお願いします。


                                

 

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