水無月の頃

 

佐賀県立点字図書館
館長  野口 幸男

 

 

 

平年だと九州北部の梅雨入りは6月5日ですので、この通信が届く頃は雨の季節でしょうか。利用者及びボランティア、ならびに点字図書館を支えていただいております皆さまには、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

「水無月の頃」と表題をつけたものの、6月は何で水無月なのだろう、と思ってしまいました。田に水を引くという意味の「水の月」説、出来るだけ梅雨が短くなるようにという願いを込めて「水無月」と書くようになったという説などがあるようです。昨年7月の九州北部豪雨はまだ記憶に新しいのですが、洪水や土砂災害などが起こらないでほしいと祈るばかりです。

佐賀新聞から月2回発行されているタブロイド版生活情報誌「フィット・エクリュ」の音声抜粋版、旅行案内の音訳、佐賀市内の「日曜・祝日在宅医病(医)院当番表」の点訳等など、最近、ボランティアや利用者からの色々な申し出や要望を受けることが増えているような気がします。「旅行案内と言っても、どんな本があるのか分からない」という利用者の言葉に、地図と方位磁石なしに街を歩いているような、不安と頼りなさが混じったような思いを教えられました。本屋にあふれかえっている本や雑誌のうち、どれくらいが点訳や音訳によって利用者の手に届いているのだろうと考えてしまいました。

さて、今年は明治維新から150年、県内では「肥前さが幕末維新博覧会」が開催されています。幕末維新の佐賀藩主鍋島直正を描いた小説「かちがらす」(植松三十里著)の点訳・音訳も進行中です。ちなみに、点字図書館の恒例行事である読書会は、幕末維新の肥前佐賀をテーマに、下記のように企画しています。

平成30年度 第41回読書会

日 時 : 平成30年10月28日(日)13:30〜15:00

会 場 : 佐賀県立点字図書館 2階会議室

演 題 : 「肥前さがの幕末維新から現代へ」(仮題)

講 師 : 大園隆二郎氏(元佐賀県立図書館近世資料編さん室長)

         (著書:「佐賀偉人伝14  枝吉神陽」、「大隈重信」他)

 幕末維新期の佐賀を知り、150年後の私たちの生き方を考える機会にできればと思います。後日、改めてご案内申し上げますので、ご予定に入れておいていただければ幸いです。

 昨年度の読書会の講師、深川勝郎様からお知らせがありました。ご著書の「佐賀駅上りホーム」が、文芸社から刊行されて7月に全国発売になるとのことでした。喜ばしい限りで、ますますのご健筆をお祈りいたします。

雨が降り続く天候不順な季節、くれぐれもご自愛くださいますようお願いいたします。

 



 


                                

 

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