「沈黙の春」ではなく

 

佐賀県立点字図書館
館長  野口 幸男

 

 

 新型コロナウイルス感染症の流行が拡大する中、新たな年を迎えました。点字図書館利用者及びボランティア、ならびに点字図書館を支えていただいております皆さまには、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
ひと月遅れですが、新年のお慶びを申し上げます。旧年中は、移転先での点字図書館業務に伴うご不便や、コロナウイルス感染防止のための取り組みへのご協力など、皆さま方には大変ご迷惑をおかけいたしました。本年も何卒よろしくお願いいたします。
昨年は、いくつもの大会や研修会等がコロナのせいで中止になったり延期になったりしました。例年10月に開催していた「利用者とボランティアとの読書会」については、「図書館通信」音声版に講師による講演を録音したものを加えて配布する形で行いたいと考えています。詳細については、「ご案内」をご覧ください。
ごあいさつの表題を「『沈黙の春』ではなく」としたのは、以下のような「いきさつ」です。昨年末、福岡市の田中良介様から「鳥好き良ちゃんの声の野鳥だより 2020年号」を送っていただきました。野鳥の声を収めたCDを製作して視覚障がい者に届ける活動を18年にわたって続けられ、令和2年度の九視情協大会(大会はコロナによって中止でしたが)で表彰を受けられています。CDの中では、オシドリ、ホオジロ、フクロウ、そして台湾に住む鳥も含めて約20種類の鳥たちが元気に鳴いています。録音や編集などの製作ボランティアの高齢化で、残念なことに2020年号をもって活動は終了されるとのことでした。
また、毎年利用者の方のご協力をいただいております「利用者満足度調査」ですが、昨年10月30日から11月30日まで、100名の方を対象に実施させていただきました。調査結果につきましては本通信に掲載しております。ご協力いただきました皆さまに深く感謝申し上げますとともに、いただきましたご要望やご意見は、今後の運営の中に活かして行きたいと存じております。

令和2年12月の歳末寒波、明けて1月7日からの大寒波と日本列島は大雪に見舞われました。元号令和の典拠となった万葉集の最後に、大伴家持の歌「新しき(あらたしき)年の初めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事(よごと)」があります。降る雪が積もるように、今年は良いことがますます積み重なってほしいと願わずにはおれません。令和3年の春が「沈黙の春」ではなくて、花咲き鳥歌う楽しい季節となりますようお祈り申し上げます。

 

 


                                

 

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