おすすめの本



   今回は、今回は、おすすめ時代小説の紹介サイト「時代小説SHOW」による、2020年時代小説ベスト本をご紹介します。

時代小説といっても、飛鳥・奈良・平安・鎌倉・室町・戦国・江戸・幕末維新・その後の明治・大正・昭和という時間軸があり、捕り物・ミステリー・市井人情・武家・剣豪・芸道・青春などに分かれているようです。デイジー図書のみと記載している点字図書は現在着手中です。それ以外は、点字図書デイジー図書があります。

 

単行本編

1位 天離り果つる国(上・下)宮本昌孝著 デイジー図書のみ 

飛騨・白川郷は、険しい山々に閉ざされた秘境の地ながら、金銀が産出され、鉄炮に必要な塩硝が取れる地。織田信長が目を付け、竹中半兵衛の愛弟子・津田七龍太が派遣され、信長と一向一揆の対立に巻き込まれていきます。戦いあり、冒険あり、恋愛ありの、読み始めたら止められない、エンターテインメント歴史時代小説です。

 

2位 じんかん 今村翔吾著

戦国時代随一の極悪人、松永弾正久秀の生涯を描いた歴史エンターテインメント小説。民が安寧な生活を送ることができる世をつくるという夢に向かい、世間の悪評をものともせず、邁進する松永久秀(九兵衛)を、少年、青年時代から描いています。乱世の梟雄、松永久秀のイメージを一変させる作品。

 

3位 きたきた捕物帖 宮部みゆき著 デイジー図書のみ 

深川元町の岡っ引き、文庫屋の千吉の子分の中で一番の下っ端の北一は、親分の急死で代わりに周囲で起こった事件を解き明かすことに。謎解き、怪異、人情の宮部ワールドの三大要素が堪能できる、読み味のよい捕物帳です。

 

4位 風神雷神 Juppiter, Aeolus(上・下) 原田マハ著

江戸初期に活躍し、琳派の祖といわれる絵師俵屋宗達の前半生を描いた、歴史ミステリーです。博物館研究員望月彩のもとにもたらせられた古文書から紐解かれていく、天正遣欧使節の秘密と、日本・桃山、イタリア・ルネッサンスの世界にどっぷりに浸れる逸品。

 

5位 流人道中記(上・下) 浅田次郎著

姦通の罪を犯した旗本・青山玄蕃は切腹の沙汰を拒否して、蝦夷福山藩松前家に流罪が決まり、与力見習の石川乙次郎が押送人になりました。江戸から、津軽三厩まで玄蕃と乙次郎の奇妙な旅が始まります。道中は事件の連続。事情を抱えたいろいろな人と出会い、「武士」や「家」に苦悩する乙次郎は成長してきます。涙ありの人情時代エンタメ小説です。

 

6位 まむし三代記 木下昌輝著 

法蓮房、還俗して長井新左衛門と、その息子新九郎(後の道三)による、美濃国盗りが、近年の研究結果を史実として織り込みながらも、物語性豊かに描かれています。


7位 化け者心中 蝉谷めぐ実著 デイジー図書のみ 

江戸歌舞伎に題材をとった長編時代ミステリー。芝居小屋に降臨した鬼の正体を突き止めてほしいと、座元から懇願されて、元女形の田村魚之助が役者たちに話を聞いて回ります。芸の道にしのぎを削り、歌舞伎に心血を注ぐ役者たちはだれもが心の中に鬼を飼っていました……。

 

8位 震雷の人 千葉とも子著 デイジー図書のみ 

中国の唐。「書の力で世を動かしたい」と文官を目指した顔希明は、反乱蜂起した安禄山将軍に殺されました。親友で、平原軍隊長の張永は希明の遺志を継ぎ、反乱軍に立ち向かいます。張永の妹で、希明の許婚である采春は得意の武術を生かして、仇討ちの旅に出ました。中国の歴史をよく知らない門外漢も楽しめる、和製武侠小説。

 

文庫本編 点字図書・デイジー図書の蔵書については、点字図書館にお問い合わせ下さい。

1位 三河雑兵心得 シリーズ 井原忠政著

三河一向一揆から、姉川の戦い、浜松城築城、三方ヶ原の合戦へ、家康のもとで、雑兵として活躍している茂兵衛を描く、痛快でホロっとする戦国足軽出世物語。

 

2位 あきない世傳 金と銀 シリーズ 高田郁著

「禍福は糾える縄の如し」で、災厄や商売上の最大の危機が、五鈴屋江戸店を襲います。巻数が進むにつれて面白さがますます増してきています。

 

3位 羽州ぼろ鳶組 シリーズ 今村翔吾著

松永源吾らが駆け出し見習いで父親の火消たちが活躍した時代を描く「ぼろ鳶組」のエピソード1、『黄金雛』。その『黄金雛』を壮大なる伏線にして、『襲大鳳(上)(下)』につなぐ驚嘆の火消の物語に魅了されました。

 

4位 家康の猛き者たち 三方ヶ原合戦録 佐々木功著 デイジー図書のみ

徳川家康の二人の武将、本多平八郎と二代服部半蔵正成が三方ヶ原合戦でいかに戦ったかを描いています。虚実を織り交ぜた、家康の猛き者たちが躍動していく、血沸き肉躍る戦国時代小説です。


 5位 虹かかる 木村忠啓著 デイジー図書のみ

天保の改革が行われていた頃、浪人飛田忠矢は人生をリセットすべく、常陸国・麻生を訪れます。かの地で知り合った六人の仲間と麻生藩の陣屋を守り、無頼の者や農民四百人と戦う痛快アクション時代小説。

 

6位 勘定侍 柳生真剣勝負 シリーズ 上田秀人著

大坂一の商人を目指す若者一夜が剣術大名・柳生宗矩に仕え、得意の勘定を使って活躍していく痛快時代小説。次々とヤマ場があるストーリー展開、エンタメ度が高い、武と商の対決が見ものの上田ワールド全開です。

 

7位 お江戸やすらぎ飯 シリーズ 鷹井怜著

「料理で人を救いたい」と薬膳料理に着目した本書です。

他にもグルメ時代小説が人気の中で、2020年は、柴田よしきさんの『お勝手のあん』、出水千春さんの『吉原美味草紙』など、読んで美味しい作品があります。

 

8位 レイモンさん 函館ソーセージマイスター 植松三十里著

日本に本物のソーセージとハム作りをもたらした、ソーセージマイスター、カール・W・レイモンの波瀾に満ちた半生を描いた人物伝。大正、昭和、平成を夫婦で幾多の苦難を乗り越えていく物語で、家族の愛と葛藤、心情が描かれています。

 

9位 隠れ町飛脚 三十日屋 鷹山悠著

依頼人から託された、いわくつきの品と想いを届ける隠れ町飛脚が描く、連作形式の人情時代小説。心に傷を負い、人に話せない過去をもつお静が、裏長屋で始めた仕事を通して人々を触れ合い再生していきます。物語のやさしさが心に沁みます。

 

10位 寄り添い花火 薫と芽衣の事件帖 倉本由布著

札差の十五歳の娘、薫が岡っ引きをつとめ、北町奉行所の定町廻り同心見習いの妹・芽衣がその下っ引きとして事件を解決していく、娘二人の大江戸バディ捕物帖。衝突しながらも助け合っていく二人。過去の事件も明らかになり、胸がキュンキュンするミステリーです。

 

本棚から本を取り出して

今回、今年の5月末で退職いたしました、前館長野口幸男さんに3冊の図書の紹介をお願いしました。

1.物騒な話ですが、戦争が変わろうとしているといわれています。AI(人工知能)が敵味方を判断し攻撃する兵器が開発され実用化される、まるで映画「ターミネーター」のような戦場が出現しようとしています。人間と機械、特にロボットとの関係を、ふと思ってみました。 「ロボット」という言葉は、チェコの作家カレル・チャペックが書いた戯曲『R.U.R(ロッサム万能ロボット会社)』に由来しています。今から100年ほど前のことです。昨年の秋、ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの小説『クララとお日さま』には、クララというAIロボットと人間とのやりとりが描かれています。

 

2. ある朝、自宅の庭に旧式の箱型ロボットが現れるというのは、デボラ・インストールの『ロボット・イン・ザ・ガーデン』。壊れかけのロボットのタングと、妻に愛想をつかされたベンとのおかしな旅が始まります。

 

3.お口直しは、人間の豊かさとか幸せについてです。6月下旬、「ブータン 山の教室」という映画を見ました。標高4800メートル、ブータンのルナナ村に暮らす子どもたちや村人の姿は、体内に宿る遺伝子をやさしく揺り起こしてくれるような気がします。改めて読みなおしたのは、『ブータンに魅せられて』です。著者の今枝由郎氏は、1981年から10年間、ブータン国立図書館顧問だった方です。

 

「クララとお日さま」はまだ着手中ですが、「ロボット・イン・ザ・ガーデン」と「ブータンに魅せられて」は点字・デイジーともに製作されています。




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