センター通信
ちょこっとひとこと
7月に芥川賞・直木賞の受賞作が決まりました。芥川賞は市川沙央著『ハンチバック』、直木賞は垣根涼介著『極楽征夷大将軍』、永井紗耶子著『木挽町のあだ討ち』が受賞となりました。これらの賞は本好きな人はもちろん、そうでない方もニュースなどで耳にすることはあると思います。
今回は、数ある文学賞の中の「吉川英治文庫賞」をご紹介したいと思います。この賞は平成28年より公益財団法人吉川英治国民文化振興財団が主催し、講談社が後援する文学賞で、シリーズ大衆小説が対象です。毎年12月1日から翌年11月30日までに、文庫最新刊が刊行された作品のなかから、5巻以上の複数巻で文庫を刊行している、もっとも優秀な大衆シリーズ文学作品と、その作家に贈呈されます。第8回(2023年)受賞作品1作品と最終候補作5作品をご紹介いたします。これらの図書は他館製作です。
6作品です。書名・著者名・内容の順にご紹介します。
受賞作品
1.「守り人」シリーズ 上橋菜穂子著
物語の舞台は、水の都、新ヨゴ皇国。帝が支配するこの国の第二皇子チャグムが、ある日、事件に巻き込まれる。そこにたまたま通りがかった腕利きの女用心棒バルサに、第二皇子は間一髪、命を救われる。しかし、この出来事は、それより後長きにわたり続いていく旅の幕開けに過ぎなかった。人界と精霊界が混在する世界で、女用心棒バルサの活躍を描いた冒険ファンタジー。
最終候補作品5作品
1. 「警視庁公安分析班」シリーズ 麻見和史著
公安部に異動したばかりの刑事・鷹野秀昭。持ち前の推理力で不可解な事件と向き合おうとするが、周囲から、公安には公安のやり方があると一蹴されてしまう。秘密主義が蔓延る公安で、打つ手はあるのか?
2.「池袋ウエストゲートパーク」シリーズ 石田衣良著
ミステリーの「今」を読みたければ、池袋を読め。刺す少年、消える少女、潰しあうギャング団・・・命がけのストリートを軽やかに疾走する若者たちの現在を、クールに鮮烈に描く大人気シリーズ第一作。青春小説の爽快さとクライムノヴェルの危険さをハイブリッドした連続ドラマ化話題作にして、日本ミステリー連作の傑作。
3.「三河雑兵心得」シリーズ 井原忠政著
桶狭間の戦いから3年・・・。喧嘩のはずみで人を死なせ、村を出奔した17歳の茂兵衛は、松平家康の家来である夏目次郎左衛門に拾われる。折悪しく、三河では一向一揆が勃発。熱心な一向宗門徒である次郎左衛門は一揆側につくことに。武士人生ののっけから、立身出世どころか国守に弓を引く謀反人になってしまった茂兵衛。波乱の世に漕ぎ出した新米足軽の運命やいかに!?
4.「吸血鬼ハンター」シリーズ 菊地秀行著
辺境の小村ランシルバに通じる街道。吸血鬼から“貴族の口づけ”を受けたドリスは、吸血鬼ハンターを探していた。西暦12,090年、長らく人類の上に君臨してきた吸血鬼は、種としての滅びの時を迎えても、なお人類の畏怖の対象であり、それを倒せる吸血鬼<バンパイア>ハンターは、最高の技を持つ者に限られていた。そしてドリスが、ついに出会ったハンターの名は“D”、トラベラーズハットを目深に被った美貌の青年だった。
5.「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ 三上延著
古書に関して並外れた知識を持つが、極度の人見知りである美貌の古本屋店主・栞子が、客が持ち込む古書にまつわる謎を解いていく日常の謎系のビブリオミステリー。