センター通信
ちょこっとひとこと
あいさがでは、日々、みなさまからの図書の貸出のリクエストをいただきます。
今回はリクエストいただいた図書を含む「視覚障害のある架空の人物」が登場する小説をご紹介します。
以下でご紹介する点字図書とデイジー図書はどちらもサピエ図書館に所蔵があります。貸出希望の方は、当センターまでお問い合わせください。紹介する本は12タイトルです。
書名・著者名・内容の順にご紹介します。
1. それでも、僕は前に進むことにした こかじ さら著
勘太郎は広告制作会社で働く若手社員。ある日、「網膜色素変性症」という難病だと診断される。現状、根本的な治療法はなく、数年から数十年掛けて緩やかに視野が狭くなっていくという。よりによって目を仕事で使う俺がなぜ……。病に冒されても、それでも目標に立ち向かい、自分を見つめ直して生きる主人公の姿に元気をもらえる成長物語。
2.春琴抄 谷崎 潤一郎著
盲目の三味線師匠に仕える主人公は、師匠の面影を脳裏に永遠に保存するため、自ら盲目の世界に入る。単なる嗜虐趣味をつきぬけて、主人公の愛と献身を描いた作品。
3.解夏 さだ まさし著
東京で小学校の教師をしていた隆之は、視力を徐々に失っていく病におかされ、母が住む故郷の長崎に帰った。懐かしい町を目に焼き付けようとする隆之の元に、東京に残した恋人の陽子がやってくる。表題作「解夏」他全4編。人間の強さと優しさが胸をうつ感動の小説集。
4.田園交響楽 アンドレ・ジイド著
盲目の少女の養い親である牧師とその息子との、少女をめぐる愛と信仰の確執が、やがて手術により開眼した少女を自殺に追いつめるまでを描く。マタイ伝の悲劇をもとにした中編。
5.仮面舞踏会 横溝 正史著
裕福な避暑客の訪れで、閑静な中にも活気を見せ始めた夏の軽井沢を脅かす殺人事件が発生した。被害者は画家の槇恭吾、有名な映画女優・鳳千代子の三番目の夫である。華麗なスキャンダルに彩られた千代子は、過去二年の間、毎年一人ずつ夫を謎の死により失っていた。知人の招待で軽井沢に来ていた金田一耕助は早速事件解決に乗り出すが! 構想十余年、精魂を傾けて完成をみた、精緻にして巨大な本格推理。
6.二十一歳の父 曽野 綾子著
女マッサージ師と結ばれた盲目の青年は、若くして父親になり幸福な日々を送っていた。しかし交通事故で妻と子を一度に亡くし、失意の彼も服毒自殺を計る。
7.チルドレン 伊坂 幸太郎著
「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない陣内。彼を中心にして起こった事件の数々。何気ない日常に起こった五つの物語が一つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。心温まる連作短編傑作。
8. 閉じた本 ギルバート・アデア著 青木 純子訳 -海外文学セレクションー
交通事故で眼球を失い、隠棲し世間と隔絶した生活をしているブッカー賞作家ポールのもとに、口述筆記の助手としてやってきた青年ジョン。彼は仕事を鮮やかにこなし、家政婦の代わりに料理もこなす。だが、何かがおかしい…。
9.阿蘭陀西鶴 朝井 まかて著
人間大好き、世間に興味津々。騒動を引き起こしつつ、新しいジャンルの作品を次々と発表した娯楽小説の祖・井原西鶴の人生を描く。第31回織田作之助賞受賞。
10.闇に香る嘘 下村 敦史著
69歳の全盲の男性は、娘から腎不全の孫娘に腎臓を移植して欲しいと頼まれる。だが、自分の腎臓は移植に適さないことが分かり、岩手の実家に住む兄に移植を頼むも頑なに断られる。もしや、27年間兄だと信じていた男は偽物なのか。誰の言葉を信じれば良いのか分からない葛藤を抱えながら、男性は真相を追う。第60回江戸川乱歩賞受賞。
11. ユージニア 恩田 陸著
ある男の遺書によって解決をみたはずの事件。町の記憶の底に埋もれた大量殺人事件が、年月を経て様々な証言によって暴かれてゆく。真実を話しているのは誰なのか。推理小説。
12. A7 -しおさい楽器店ストーリー- 喜多嶋 隆著
葉山の楽器店店主の牧野哲也は活動を中断しているギタリストで、目の不自由な従妹と気ままな二人暮らし。店に持ち込まれる中古ギターが運んでくる音楽を愛する人々の熱い想いが、いつしか哲也の心の奥に火をつけてゆく…。しおさい楽器店ストーリー1巻目。