センター通信

ごあいさつ

花よりまんじゅう


佐賀県立 視覚障害者情報・交流センター
センター長 田中 真理

 

 

 

「あい さが」利用者及びボランティア、ならびに「あい さが」を支えていただいております皆さまには、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

 新しい建物に移転した、と以前のご挨拶に書いてから、早いもので一年が経過しました。振り返るにはまだまだ気持ちがせわしなく、もう一年も経ったのか…という感じです。まだまだ不慣れな点や不手際も多いですが、利用者の皆様に喜んでいただける施設になるよう、引き続き努力して参りたいと思います。

さて、先日佐賀城下ひなまつりに行ってきました。以前から何度か足を運んだことのあるイベントですが、2020年に行こうとしていたらコロナ禍で途中終了となり、次の年とその次の年は中止。今年は3年ぶりの開催ということで、行ってみました。

佐賀城下ひなまつりは、佐賀市内の徴古館と佐賀市歴史民俗館を中心とした催しです。雛人形の展示のほか、期間中は骨董市やハンドメイドフェア、音楽イベントやウォーキングイベント、ライトアップなど、さまざまなイベントが行われます。

佐賀市歴史民俗館は単独の施設ではなく、佐賀市柳町の7つの歴史的建造物の総称です。毎回、それぞれの建物でそれぞれの個性を打ち出した展示がされています。

旧古賀銀行ではシュガーロードにちなみ、県内の色々なお菓子が展示販売されていました。隣の旧古賀家では、庭に面した大広間での雛人形の展示が圧巻でした。コロナ以前は奥の間で投扇興(台に乗った的をめがけて扇を投げ、当たりや落ちた扇の位置などで点数を競う遊び)の体験イベントもありましたが、そちらの再開はまだのようです。投扇興は何度かやりましたが、扇を投げる時の角度次第で不思議な軌道を描(えが)くところが面白く、さっきのようにもう一度と、つい熱くなってしまいます。再開の折には、ぜひ皆さんやってみてください。

古賀家から更に先にある旧三省銀行では雛飾りのほか、例年と同じく鍋島緞通の展示と、今年のテーマとして着物の裏に縫い付ける魔除けの刺繍「背守り」の図案が展示されていました。向かいにある旧森永家、旧牛島家にはテナントも入っており、雛飾りを見るだけでなくショッピングや休憩もできるようになっています。

少し離れた通小路にある旧福田家。こちらは現在、佐賀錦振興協議会の活動拠点となっていることもあり、佐賀錦の雛人形や小物作品などが展示販売されています。部屋の一角では佐賀錦の体験などもされていました。あの細い糸を一段ずつ織り上げ、それが雛人形の衣装として輝いているのかと考えると、改めてとんでもない手間と時間がかけられている品物だと実感します。

見物客の中には、真剣に購入を検討されている人もいました。こちらの人形は顔がいい、あっちは一番人気などなど。話を横で聞いていると、ついつい自分だったらと考えてしまいます……いや買う予定はないですが。

中央郵便局横の徴古館は鍋島家が開設した博物館ということで、鍋島家の女性たちが所有していた雛飾りを展示していました。さすが大名、侯爵家というべきでしょうか、細工も何もすべて一流のものがずらりと並んでいます。雛人形は嫁入り道具だったため、実家の威信をかけて準備したとのことでした。そのほか、今年は「食」がテーマということで、鍋島家に伝わる和・洋の食器も展示されています。

徴古館に行ったら、鶴乃堂本舗の肉まんじゅうも買わなければいけません。肉まんじゅうを買って徴古館のベンチで食べるまでがセットです。歩きながら食べようとすると、酢醤油をこぼしてしまいますからね!ちゃんと座って食べましょう。そういえば、肉まんに酢醤油をつけるのは九州独自のやり方だとか。確かに、大学(山口県)のコンビニではもらわなかったような気がします。コンビニの肉まんは味が濃いので、何もつけなくても良いですが、肉まんじゅうには絶対に酢醤油がないと! ちなみに私は、まんじゅうを裏返して真ん中あたりをちょっと割り、そこに酢醤油を入れるのが好きです。皆さんもぜひ、徴古館や佐嘉神社にお越しの際は鶴乃堂本舗の肉まんじゅうをお試しください。 ひなまつりの話をしていたのに、なぜか最後は肉まんじゅうの話に……やはり、花より団子ということでしょうか。来年のひなまつりは、もうちょっと真剣に見て回ろうと思います。