センター通信
ちょこっとひとこと
2023年本屋大賞のノミネート作品を4月1日発行のセンター通信で紹介しておりましたが、大賞やランキングが発表されましたのでご紹介いたします。「本屋大賞」は、新刊書の書店(オンライン書店も含みます)で働く書店員の投票で決定するものです。過去一年間に、店員自身が読んで面白かった、ぜひお客にも薦めたい、自分の店で売りたいと思ったものを選び投票します。大賞には凪良ゆう著「汝、星のごとく」が選ばれました。大賞から10位までの作品と、翻訳小説部門の3作品、および発掘部門の中から選ばれた超発掘本1作品をご紹介いたします。発掘部門とはジャンルを問わず、2022年11月30日以前に刊行された作品のなかで、時代を超えて残る本や、今読み返しても面白いと思う本をエントリー書店員が一人1冊選び、さらにその中から、これは!と共感した1冊を実行委員会が選出し、「超発掘本!」として発表されました。貸し出しを希望される方はセンターまでお問い合わせください。
- 汝、星のごとく 凪良ゆう著
瀬戸内の島に育った高校生の暁海と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂。ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していき…。『小説現代』掲載を加筆改稿し単行本化。
2.ラブカは静かに弓を持つ 安壇美緒著
少年時代のある事件から心を閉ざしてきた橘は、音楽教室への潜入調査を命じられる。目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠を掴むこと。美しき孤独なスパイが最後に手にするのは…。
『小説すばる』連載を加筆し単行本化。
3. 光のとこにいてね 一穂ミチ著
古びた団地の片隅で出会った結珠と果遠。ふたりは何もかもが違った。着るものも食べる物も住む世界も-。ひとつの愛に惑うふたりの四半世紀の物語。『別冊文藝春秋』連載を書籍化。
4.爆弾 呉勝浩著
都民1400万人を人質にとる無差別爆破テロ。爆弾の在り処の手がかりは、容疑者と思しき中年男が出す“クイズ”のみ。狭小な取調室の中で、正体不明の容疑者と警察の戦いが始まる。『小説現代』掲載を単行本化。
5. 月の立つ林で 青山美智子著
元看護師、売れない芸人、整備士…。日常の中で、それぞれが耳にしたのは、月について語るインターネットラジオだった。日々の暮らしを紡ぐ連作短編集。
6. 君のクイズ 小川哲著
クイズ番組の決勝戦に出場した男性は、対戦相手の不可解な正答を訝しみ、不正工作を疑う。彼はなぜ問題が読まれぬうちにボタンを押し正答できたのか?男性は真相解明のため、決勝を1問ずつ振り返ってゆくのだが…。唯一無二のクイズ小説。
7. 方舟 夕木春央著
地震によって山奥の地下建築に閉じ込められた柊一たち。水が流入しはじめ、地下建築の水没までおよそ1週間。地下建築から脱出するためには、9人のうち誰か1人を犠牲にしなければならない。そんななか、殺人事件が起こり…。
8.宙ごはん 町田そのこ著
育ての母と産みの母。ふたりの母親に育てられた宙は、産みの母親と暮らすことになるが…。ごはんを作って食べることを通して成長していく姿を描く。『WEBきらら』連載に書き下ろしを加えて書籍化。
9. 川のほとりに立つ者は 寺地はるな著
カフェの若き店長・原田清瀬は、ある日、恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけたことで、恋人が自分に隠していた秘密を少しずつ知ることに――。「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。
10.#真相をお話しします 結城真一郎著
家庭教師の仲介営業マンをする大学生、マッチングアプリに勤しむ中年男、精子提供を始めた夫婦…。でも、何かがおかしい。緻密で大胆な構成と容赦ない「どんでん返し」の新感覚ミステリ短篇集。『小説新潮』掲載を書籍化。
(翻訳小説部門)
1.われら闇より天を見る クリス・ウィタカー著 鈴木恵訳
自称「無法者」の少女ダッチェスと、過去に囚われた警察署長ウォーク。彼女たちの町では30年前、ひとりの少女が命を落とす事件が起きた。事件で逮捕された男が刑期を終えて町に帰ってくると、新たな悲劇が…。
2.プリズム ソンウォンピョン著 矢島暁子訳
他人と一定の距離を保つドウォン、離婚した元夫と不毛な逢瀬を重ねるジェイン…。過去の傷や闇を抱えた4人の男女が、人との出会いを通して自分を見つめ直し、成長してゆく姿を繊細に描いた、大人のための恋愛小説。
3.グレイス・イヤー 少女たちの聖域 キム・リゲット著 堀江里美訳
とある街では、女性の魔力を解き放つため、16歳の少女を1年間森に追放する風習があった。自分らしい人生を望む少女が、この風習の果てに見た真実とは。
(発掘部門)「超発掘本!」
おちくぼ姫 田辺聖子著
姫君と青年貴公子のラブ・ストーリーでもある「おちくぼ姫」は千年も昔に書かれた王朝版「シンデレラ物語」。若い読者のために現代語訳された、とびきり面白い物語を楽しんで下さい。