センター通信
ごあいさつ
かぐわしき
佐賀県立 視覚障害者情報・交流センター
センター長 田中 真理
「あい さが」利用者及びボランティア、ならびに「あい さが」を支えていただいております皆さまには、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
朝が寒いなと思い上着を羽織ると昼暑い、夜も暑いしもう長袖はいいかな…と思うとやっぱり朝がちょっと寒い、と着るものが難しい季節になりました。生来の暑がりとしては、これから半年は半袖で過ごすことになりそうです。
さて、私は中学高校と6年間美術部員をやっていました。結果として部活動で終わりましたが、今でもテレビの番組で芸能人が描いた絵に対して評論家ぶるくらいには、絵を見るのも描くのも好きです(あんまり描けてはいませんが…)。
一口に絵といっても、油絵、日本画、デザイン、デッサンと色々あります。テレビ番組では、扱いやすい水彩画や色鉛筆がよく取り上げられますね。水で溶いてすぐに使える水彩絵の具は、初心者や入門編にぴったりですし、紙に透ける透明性は光や空気の描写に適しているので、風景画や静物画といった身近なモチーフから取りかかることができます。最近人気の絵手紙なども、水彩画の一種と言えますね。絵具と筆、あとは紙があれば始められる手軽さは大きなメリットです。難点は、耐久性が低いことでしょうか。水で溶いた絵具を紙に塗っただけですので、色褪せなどどうしても経年による劣化が起こります。紙そのものの劣化にも気をつけなければいけません。
ちなみに、透明性が云々と言っていますが、不透明水彩絵具というものもあります。「ガッシュ」や「アクリルガッシュ」と呼ばれるものがそうです。水彩絵具の透明性は光や空気の描写に役立ちますが、同時に厚塗りや重ね塗りができないというデメリットがあります。それらを解消するのが、不透明水彩です。紙に描く水彩でありながら重厚感やメリハリの効いた表現ができるため、ポスターなどによく使われます。
絵画と聞いて多くの方が想像するのは、やはり油絵でしょうか。知名度は抜群ですが、意外と道具や材料について知る機会は多くありませんよね。
簡単に言うと、固まる作用のある油に顔料を混ぜて作った絵具を、これまた接着用などの油を混ぜて布や紙や木の板に描いたものが油絵です。「モナ・リザ」や「真珠の耳飾りの少女」、「ゲルニカ」など、世界的に有名な作品も多くが油絵になります。
油絵というと「画家っぽい」「なんか優雅」と良いイメージを持つ方が多いです。が、元美術部としては自信を持って「くさい・汚い・臭い」の3Kと申し上げましょう。
え? くさいって2回書いてるって? いやいや間違いではないです。
絵具に混ぜる油には石油原料のものもあり、また乾燥・接着の役目があるので揮発性が高いです。ビンにはたいがい「火気厳禁」とか、「使用中は換気してください」などの注意書きがあります。換気しろと注意されるほど、空気が悪くなるわけですね。
それから、油絵の筆は水では洗えません。最近はにおいの少ない専用クリーナーなどもあるそうですが、筆洗いとしてもっぱら使われているのは灯油です。口の空いた容器に灯油を入れて筆をジャブジャブ洗い、そのまんま放置するわけです。
入れっぱなしの出しっぱなし、もう匂いが想像できますね。放置も数日とかではなく数か月、年単位ですから(使いまわすので)、悪臭もパワーアップします。
高校時代、美術部部室の掃除当番になったことがありましたが、同じ班のクラスメイトは部室に入った途端悲鳴をあげて逃げ出しました。部員はもう鼻が曲がりきっているので何も感じませんでしたが、「臭すぎて無理」だったそうです。そうかな、なんて返事した私もだいぶ鼻がやられてたんだろうな……。
ちなみに油汚れなので、服に付いたら落ちません。いや落ちないわけでもないですが、根気よく手洗いする必要があります。が、面倒くさいので汚れても構わない服でやるのがオススメです。手についた油とかを裾でササっと拭けますし!
ダメなところばかりを書き連ねていますが、水彩のような薄塗りから油絵らしい光沢のある塗り、絵具を盛って凹凸のある画面を作る表現など、油絵の技法は多様で耐久性も高く、絵画として優れているのは間違いありません。ちょっとお金と場所が必要ですが……あと匂いがちょっと…キツいですが(まだ言う)。
あとは日本画…と思ったらもう文字数が!
自分のやっていたジャンルを説明する前に終わるとは甚だ遺憾ですが、日本画やデッサンについては、またの機会に説明したいと思います。興味のある方は私の方までお尋ねください。こんな画家が好きとか、こんな画家または絵について知りたい、なんて話も大好物なので、どんどん聞いてください。
これから一層暑さも増していくと思われますが、皆様くれぐれも体調にはお気をつけてお過ごしください。涼みたいときは、屋根付き冷房付き、駐車場も無料のあいさがに、ぜひお越しくださいませ。お待ちしております。