センター通信
センター長あいさつ
新しい風
佐賀県立 視覚障害者情報・交流センター
センター長 田中 真理
「あい さが」利用者及びボランティア、ならびに「あい さが」を支えていただいております皆さまには、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
今年の桜は長く咲きました。なんでも開花時期にあまり気温が高くない日が多かったとのこと。とはいえ流石に今は葉桜、そして徐々に気温も上がり始めています。日差しだけなら、もう夏と言っていい日も出てきました。
さて、先日、機会があり佐賀錦の贈答品を求めに旧福田家に行きました。旧福田家とは佐賀市松原にある文化財の古民家で、近隣の旧古賀銀行、旧古賀家、旧三省銀行などと共に佐賀市歴史民俗資料館として整備されています。ひなまつりなどで訪れたことがある方もいらっしゃるかもしれません。ここは、佐賀錦振興協議会の活動拠点でもあるため、普段から佐賀錦を使った装飾品や文房具などの商品の展示販売が行われています。
佐賀錦については皆さまご存じとは思いますが、少しだけ説明しますと、江戸時代の鹿島鍋島家を発祥とした織物で、佐賀県を代表する伝統工芸品です。織機ではなく織り台と呼ばれるちいさな台で織ることと、金銀箔を貼った和紙を経糸にすることが特徴で、独特の風合いをもち帯や小物に使われることが多いとされています。
自分で買うにはなかなか勇気がいるものですが、贈答品であれば遠慮なく品定めができます。装飾品、文房具、日用品……ケースには様々な色形の作品がびっしりと並んでいました。いかにも佐賀錦らしい文様だけでなく、中には花の図柄を織り込んだ珍しいものも。価値が高いのは布地の方なので、装飾品よりも札入れや印鑑ケースなどの布面積が大きいものの方が値段が高くなります。あれこれ悩んで、なんとかこれと思うものを購入することができました。
先日は同じく伝統工芸品の鍋島緞通がテレビで紹介されていました。こちらも手織りの木綿の絨緞で、大きいものはちょっとびっくりする高値がつきます。どちらも一本一本、人の手で少しずつ織られていることを考えると納得というか、これが手間と時間、そして積み上げてきた歴史による価値というものなのかと思います。有田焼などは、お手頃な価格のものも多いのでつい忘れがちですが、何百年も途切れずに続いてきたことにはやはり大きな価値があります。
伝統を保持すること、そのために知識や技術を持ち、磨き続けること、そしてそれらの価値を忘れないようにすること。伝統工芸において大切なことは、点訳や音訳にもつながる大事なことだと思いました。
さりとて維持だけではいけません。新しい風を入れることも大切です。
あいさがでは、4月から新しく2名の職員が入りました。すでに巡回や貸出業務に従事しておりますので、お話した方もいらっしゃるかもしれません。今回の通信に挨拶も掲載しております。センターに御用の際はぜひ、お気軽にお声がけください。
新しい職員共々、あいさがをよろしくお願いいたします。